📍1. 概要
孔内水平載荷試験は、ボーリング孔壁に直接圧力を与え、その変形挙動から
地盤の強度・変形係数・弾性特性を評価する試験です。
平板載荷試験を地中で再現する位置づけで、基礎設計や
岩盤・軟弱地盤の支持力評価に広く利用されます。
岩盤域ではエラストメータ、軟弱地盤ではLLTが一般的で、境界目安は概ねN値30付近です。
境界付近(N値20〜40)ではソフトゴムチューブを装着したエラストメータを使う例もあります。
本試験の特長は、地表から直接試験機を設置する必要がなく、ボーリング孔を利用して
深部地盤の原位置特性を効率的に把握できる点です。
設計段階での支持層確認、耐震解析における変形モジュラスの推定など、
計画精度向上に寄与します。
⚙️2. 試験装置と構成
◆地上測定装置
- 測定器:圧力計・変位計を備え、リアルタイムで圧力と変位を表示・記録。
- 加圧装置:通常は水圧ハンドポンプを使用。
ただし孔内水位差が20mを超える場合は水の逆流によるゴムチューブ縮退(ジャーミング)を防ぐため、窒素ガスによる加圧を採用します。
最大圧力:ハンドポンプ20MPa、ガスボンベ約10MPa。
◆孔内装置(ゾンデ)
- 全長約1.4m。ボーリングロッドに連結し、中央のゴムチューブが深度基準となります。
- ゴムチューブ膨張によって孔壁を押圧し、キャリパーアームが変形量を直接検知。
- 試験深度より最低40cmの余掘り、保護管下端から65cm以上の裸孔が必要。
◆ゴムチューブの選定
ゴムチューブにはBX(Φ60mm)とNX(Φ70mm)があり、ハードタイプ・ソフトタイプを地盤条件に応じて選定します。
下表は代表的な加圧限界値の目安です。
| 種類 | 孔径 | ハード(MPa) | ソフト(MPa) |
| BX (Φ60mm) | 70mm | 20 | 5.0 |
| 76mm | 8 | 4.0 |
| 80mm | 3 | 1.5 |
| NX (Φ70mm) | 80mm | 20 | 5.0 |
| 85mm | 8 | 4.0 |
| 90mm | 3 | 1.5 |
🛠️3.測定
- ゾンデをボーリングロッドに接続し、コントロールケーブル・高圧送水チューブの弛みを確認。
- 試験深度に合わせてゾンデを降下。ケーブルの弛みはジャーミングの原因となるため等速・慎重に操作。
- 加圧装置でゴムチューブを徐々に膨張させ、圧力・変位を測定器でリアルタイム記録。
- 所定圧力まで到達後、段階的に圧力を増減しP-R曲線データを収集。
- 測定終了後は圧力を完全に開放し、内部ディスクにデータを保存。
安全上、試験中の圧力変動や異常音に注意し、急激な加圧・減圧を避けることが重要です。
特にガス圧使用時は圧縮窒素の取り扱いに十分注意します。
📊4.解析
測定データから圧力-変位(P-R)曲線を作成し、以下の係数を求めます。
- 地盤係数 Km:直線区間の勾配。
Km = ΔP / ΔR
- 変形係数 Db:Kmを用いて次式で算出。
Db = (1 + ν) × Rm × Km
ν:ポアソン比(通常0.3)、Rm:中間半径(R0+R1)/2
Kmは地盤の変形抵抗、Dbは弾性変形特性を示し、
地盤改良計画や基礎設計での支持力・沈下予測に活用されます。
⚠️5.留意事項とトラブル防止
- 測定前に装置の較正・漏れチェックを実施し、ゴムチューブの微細な傷やOリング劣化を確認。
- 現場の気温・湿度変化による結露で電子回路が誤作動する場合があるため、急激な温度差を避けて保管。
- 測定中の圧力値が安定しない場合はケーブル絶縁不良やスリップリング接触不良を疑い、即時点検。
- 保護管がある場合は裸孔長不足により加圧が均一にならない恐れがあるため、規定以上の余掘りを確保。